不動産業の論理と景観の論理

景観計画の運用に関する会議にて,マンション計画に対する景観の専門家としての意見を述べた.相手は大手不動産会社.

こちらはそこに大規模なマンションが建つことにより,地域の基調をなす景観が失われることを危惧し,この計画では景観計画に適合しないと述べた.

先方は質の高い住居を提供することにより地域の価値が上がると言う.景観に配慮した計画ではマンション自体の売れ行きも悪いと.
それは企業の論理としてはわかる.商品としてのマンションもそういうものだろう.

しかし,マンション単体の付加価値を高めることと,地域全体の価値を尊重することとは必ずしも等価ではない.汐留の再開発がいいサンプルだ.それぞれ単体のビルで最適化を図った結果,パブリックスペースはまとまりなく,全体としてばらばらだ.さらに壁のようなビル群が眺望ばかりか風の流れまで遮っているという.

景観は地域の共有財産である.例えばよい眺望を誰かが恒久的に独占するのはふさわしくない.少し強い言葉で言えば,そうした行為は公益を損なうと言えるだろう.

ここで,都市計画(関連法制度)と景観計画の関係について疑問を感じてしまう.
建築基準法は明快に「最低限の基準」であることを宣言している.都市計画法は「国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与する」と中途半端だ.利害関係を調整して落としどころを探る感じがあるという意味でだ.そこに「国民生活の向上並びに国民経済及び地域社会の健全な発展に寄与」することを謳う景観法が追加される.都市計画法と景観法の関係や如何に.

今回のマンションの件では,都市計画法と景観法の間にあるギャップに目を向けざるを得ない.不動産会社が悪徳な訳ではなく,彼らは法制度の範囲で彼らの目的について最適化した行動をとったにすぎない.一方で,こちらも地域景観の特徴を丁寧に見てきた自負はある.その二つの価値観を調停するようには現在の景観関連法制度の体系は調っていない.

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