EToS 地理情報システムと名所の景観プロジェクト

法政大学景観研究室は,学内の文理協働プロジェクトである江戸東京研究センター(EToS)の研究活動に参加しています.2018年度のEToS活動開始以降,本学文学部地理学科 米家志乃布教授(人文地理学)のゼミと協働し「地理情報システムと名所の景観」プロジェクト(2022年度まで「江戸東京アトラス」プロジェクト)について継続的に研究を実施しています.

景観研究室では主に近世から明治初期を対象としています.江戸の空間構造や風景体験がどのようなものだったのかを『名所江戸百景』や『江戸名所図会』を素材として研究するとともに,古地図を用いた都市の分析などを行っています.

明治前期・東京水地図

本図は,『5千分1東京図測量原図』(陸軍参謀本部・1876-84(明治9-17)年測図,以下「東京図」)に描かれた水に関する要素を抽出したものである.フランス式に着彩された東京図には,濠や河川,池などの大きな水面の他に、樋線のネットワークや「#」で表現された無数の井戸が描かれている.江戸東京アトラスプロジェクトでは,濠・川・水路・樋線・池・水田・田・湿地・井戸に注目し,GIS(地理情報システム)上でトレースを行った.東京図を元に水の要素を抽出した既往研究はあるが,井戸まで抽出し,水の全体像を示した地図はこれまでなかった.東京の中でも水に関する状況は局地的に異なっていることが読み取れる.なお,井戸には上水の水を引いた上水井戸と,地下水を汲み上げる掘り抜き井戸がある.東京図の表現からは区別することができないが樋線網の近くに分布しているのは上水井戸,そうでないものは掘り抜き井戸の可能性が高いと考えられる.